俺の大切な大切な、小鳥さん

キミは目を放すとスグ何処かへ飛んで行ってしまうから



ずっと、閉じ込めておかないとね






















四天宝寺中学、テニス部。
ここである事件が起きていた。
それは、マネージャーの失踪。
皆からの信頼の高かった中学3年、の失踪事件だ。
ある日から忽然と姿を消してしまった。


「何処行っちゃったんやろうな、……」
「彼女がいなくなってから1週間が経つのか…」


がいなくなっても毎日は変わらない。
しかし、テニス部メンバーの精神的な面では大きく変化が訪れていた。


「ちゃん、何処に行っちゃったんやー!」
「……金ちゃん、その辺にしとき」


ラケットを持ってじたばたと暴れる金太郎を千歳は止めた。
視線の先には、忍足謙也がラケットを持ったまま違う方を見ている。
謙也を見て、金太郎は「あっ」と声を上げると、大人しく俯いてしまった。


「こん中で一番辛いんは謙也やろ?」
「俺……っ」
「気にせんでええよ、金ちゃん」


謙也は俯いた金太郎を見て苦笑いをした。
忍足謙也とは恋人同士だ。
がいなくなって一番のショックを受けたのは他でもない、謙也だった。


「、無事に見つかるとええな」
「そうやね」


ぽん、と励ますように叩かれた肩を見て謙也は辛そうな笑顔を皆に向けた。














「ただいま」


部活が終わると、謙也は家では無く、近くの森に足を運んだ。
そして、森の中にある小さな小屋の扉を開けると、謙也は中に居る人物に向かってそう呟いた。


「……謙也……っ」
「大人しくしとったか?…」


白いワンピースを着て床にしゃがみ込んでいるの元に来ると、膝をついて視線を合わせる。
細い足首には柱と繋がれている鎖が目につく。
謙也はそっとの頬を撫でると、愛しそうに唇を寄せる。


「今日も皆の事心配してたで?」
「……っ」
「俺の事、同情した目で見てくるんや」


くっくっ、と喉の奥で笑うとの肩に腕を回す。
力強く抱きしめると耳元で囁く。


「を攫った犯人と、恋人の俺を別人やと思っとる……を閉じ込めたのは紛れもない俺なのにな」


薄笑いを浮かべる謙也。
小さく震えだしたの体に気付くと謙也は長いの髪の毛を梳いた。


「愛してるで、」
「…謙也……」
「愛してる……」


の唇に唇を重ねると、舌を滑り込ませ口内を犯す。
ゆっくりとを押し倒すと身に着けているワンピースを脱がす。


「お願い…っ…謙也……もう…」
「何?帰りたいって言うても、帰さへんよ」


さっきまでの態度とは打って変わり、冷たい目でを見下ろす。
その目を見ては口を閉ざし、言葉を発しなくなった。
口答えしても無駄。
それは、がココに来て学んだ事だった。
抵抗をしなければ、謙也は優しい。
たとえ、それが歪んだものであっても、愛してくれる。
大人しくなったを見て満足そうに笑うと、首筋に顔を寄せた。


「んぅっ……!」
「……愛してる…っ」
「……謙也ぁっ……あぁっ…」


愛撫を施し、声を上げるに目を細める。
を閉じ込めてからいつも行われている行為。
足首の鎖は外さないが、に酷い事をした事は無かった。
昇り詰めたを突き上げながら謙也は中に全てを注ぎ込む。




「出して…っ……私を、ここから…出してよぉぉっ……」




情事の最中、はイくときに必ず謙也に言う。
無意識のうちに言葉に出ているのだろうの本心。

「、ここから解放して欲しいのなら」

ぐったりと倒れ込むを抱きとめると、意識を飛ばしている彼女に囁く。




「俺に愛される続けるしかないんや」




眠っているに口付ける。
そして、子宮がある辺りをそっと指で撫でた。




















檻の鍵はココ





2007.7.26