あぁ 綺麗だよ

やっぱりキミは俺の元にいるのが


一番 綺麗だ



















俺の斜め前の席に座る彼女。
長い間ずっとキミだけを想い続けていたんだ。
だから、ショックだったんだよ?




キミが仁王の彼女だって知ったときは




「幸、村……くんっ……もぅっ…!」
「はぁ…っ…………」


動きを早めて彼女を絶頂へと導く。
びくびくと震えた後、力をなくして動かなくなったを冷ややかな目で見下ろしていた。
何度目になるか分からない行為。
は精市に抱かれ続けていた。


「……キミは本当にいけない子だね」


気を失ってしまっているの頬をそっと撫でる。
簡単に乱れた制服を調えてやると、眠っているの横に座った。
そして、を見下ろす。
首元には赤い痕。
これは、精市がつけたものではない。


「……本当、忌々しいよね」


その痕をゆっくりと撫でると、精市は上書きするようにその痕に唇を落とす。
より、赤みを増したその痕に満足そうに微笑むとゆっくりとのネクタイを取った。


「これは貰っておこうかな」


ネクタイの裏にはと書かれているそれを自分の首に巻く。
代わりに精市のネクタイをの首元に巻いてやった。


「ふふ……キミは俺から逃げられないよ」


まるで所有物に名前を書いたようで、不思議なくらいに満足していた。
これを仁王が知ったらどうするかな……?
そう考えて、結論が出ると、一人で笑った。


きっとの傍から離れるだろうね。

そして、は俺の元に……




「早く気付かないかな」




俺から仁王へ送る挑戦状……





















思ったよりもそれは早くに訪れた。
ある日の放課後。俺は聞いてしまった。
教室で仁王がをフルところを……。
咄嗟に隠れて様子を伺う。


「、俺達もう終わりじゃ」
「え………」


突然の事だったのだろう。
仁王の言葉には狼狽する。
仁王はを見てはいなかった。


「どう、して……?私の事、嫌いになったの…?」
「嫌い?それはの方じゃろ。毎日のように幸村に抱かれとって」
「!!!」


俯いていた顔を上げて仁王を見る。
仁王は窓からグラウンドを見下ろしている。
震える拳を握り締めて、は尋ねた。


「な、んで……っ」
「お前さんの身に着けてるもんみたら一発で分かる」
「身に着けてる、もの…?」
「話はそれだけじゃ」


に一瞥もせず、仁王は教室を出て行った。
呼び止める事も、何も出来なかった。
はただ呆然と立ち尽くす。




ガラッ




「これで満足か?」
「ふふっ……そうだね、とても満足だよ」


教室を出てスグの所に壁に凭れかかっている精市を見て仁王は眉間に皺を寄せる。
口元に手を当てて、精市はくすくすと笑う。


「アレはお前さんの仕業だったんじゃろ?」
「そうだよ?早かったね、気付くの。は気付いてないみたいだったのに」


アレ、とは勿論ネクタイの事だった。
物事に敏感な仁王はスグに分かった。
精市は壁から背中を離すと教室の扉に手をかける。
仁王とすれ違う間際、彼の耳元で囁く。




「は俺の顔を見て俺の名前を呼んで啼いている時が一番綺麗なんだ」




そう、を世界で一番綺麗にしてあげれるのはこの俺なんだよ。
くすくすと笑うと精市は教室の扉を開けた。
その物音にはっとしては顔を向ける。
こちらを見て穏かに笑っている精市を見ては一歩後ずさった。


「、どうしたの?こんな所で……ひょっとして、俺を待っててくれたのかな?」
「ち、違う…っ!幸村くんの所為で……私は…っ」
「俺の所為?」


冷たい声には喉を詰まらす。
穏かな表情は一変とし、冷ややかな笑みを浮かべ精市は口の端を吊り上げた。


「違うよ、俺の所為じゃない。が悪いんだ」
「……っ」
「俺に抱かれている時が一番綺麗だ」


だから、放したくない。
一歩一歩近寄ってくる精市を怯えた目で見返しながらも一歩一歩後ろへ後退する。
だが、それも永遠ではない。
背中が窓に当たった瞬間、精市はの顔のスグ横に手を置いた。
顔を近づけて触れるか触れないかの所で囁く。


「だから俺の傍にいなよ。一番綺麗にしてあげるよ?」
「やっ……!」


の注意に逸れている時に精市は素早くの両腕を片手で掴み上げた。
空いた手で自分のネクタイを緩めると、それをの両手首に縛り付ける。
はネクタイを緩めた精市の手元から目を逸らせなかった。
一瞬だけ見えた。


自分の名前が書かれていた事を―――。




「な、何で……っ…わた、しの……」
「あぁ、やっと気付いたんだ?そうだよ、これはの」

ネクタイで縛った両手首を掴みながら精市は笑いながら言った。
そして、の首元に巻かれているネクタイをトントンと指先で叩く。


「これは、俺の」
「やぁっ……!」


ネクタイを軽く緩めるとブラウスを力強く引っ張る。
何個かボタンが床に落ち、の上半身が露になった。


「やだっ!やめ、やめてっ!」
「ふふっ……教室で抱くのは初めてだな。綺麗なを見せてあげたいよね」
「やぁ……っ!」
「そうだ。、窓の方を見てごらん?きっと皆見てくれるよ」


自由の利かないをいとも簡単に後ろ向きにさせると、に窓の外を見させる。
3階の教室からはグラウンドを一望する事が出来る。
部活に励む生徒の姿がちらほらと伺える。


「こんな……っ」
「恥ずかしい?でも、のココは違うね。いつもより凄いよ」


ひょっとして見られてる方が感じるのかな?
耳元で囁かれた言葉に体を震わせる。
やめて、と言いつつもの体は素直に悦んでいく。
それは他でもない俺がそう仕立てたから。







あぁ 綺麗だよ

やっぱりキミは俺に啼かされているのが


一番 綺麗だ













綺麗にしてあげる






2007.8.4