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どうしたら、俺を見てくれる?
どうしたら、その瞳に俺を映してくれるのだろう
最初から、キミが俺をみていてくれれば――――
夏休みが明けて、休みボケもそこそこに忙しくなってきた部活動。
四天宝寺中学3年生、は、2週間後に迫った中文連に出す作品のため、毎日遅い時間まで学校に居残っていた。
「・・よしっ・・と」
持っていた筆を置き、うっすらと額に浮かんだ汗を拭うとは一息つく。
美術部に所属し、部長でもあるは、他の誰よりもこの中文連に力をいれていた。
最後の中文連ともなれば、自ずと力んでしまうのかもしれないが。
「・・・もうすぐ完成かなぁ・・・」
自分の絵を見てひとりでに呟く。
横目で壁にかけられている時計を見れば、19時半を指そうとしていた。
あまり遅くなってはいけないだろうと、は自分の作品を片付け、帰る支度を始める。
近くの机に放り投げていた自分の鞄を手にした時、
「あ・・・」
小さく声が漏れた。
鞄の中にあるはずの携帯が見当たらなかったのだ。
「教室に忘れていっちゃったのかな・・・」
美術室から教室まで遠いのに。
かといって、携帯がないと困るのも事実で。
仕方なしには教室まで携帯を取りに行く事にした。
美術室の電気を消し、鍵をかけると暗い廊下を一人で歩く。
「・・・」
時間が時間だからだろう。学校には人影は無い。
暗い学校を一人で歩いているからだろうか、は自然と鞄を持つ手に力がこもる。
早く取りに行って帰ろう。
見えてきた自分の教室の扉を目に留めると、は早歩きで扉に近づいた。
ガラッ
当然、教室の中は真っ暗だ。
教室の電気をつけようと、は手探りでスイッチへと手を伸ばした。
カチッと、小さな音がなった後すぐに教室は明るくなる。
自分の席に足を運ぼうと視線を教室の中に戻した時に初めて中に人がいる事に気付いた。
「ひゃぁ!?」
人がいないと思っていたは咄嗟に思わず声を漏らした。
その声を聞いて、中にいた人物はゆっくりと振り返り、の方に視線を向けた。
を視界に留めると、彼はゆっくりと微笑んだ。
「・・・なんや、ちゃんか」
「えっ・・・え、と・・・白石、くん・・?」
教室の中にいた人物は、白石蔵ノ介。と同じクラスで、所謂クラスメイトというやつだ。
それ以外は何もなく、特別親しい訳でも、敬遠してる訳でもない。
二人の間柄は至って普通だった。
「どうしたん?こんな時間まで学校におるなんて」
「部活で・・・遅くなっただけ・・・・白石くんは?」
「俺も部活でこの時間まで残ってたんや」
そう言うと、白石は手元にあったプリントをに向けてひらひらと揺らす。
そのプリントは今日の国語の時間に出された宿題のプリントだった。
「部活終わって帰ろう思ったらこれ忘れたのすっかり思い出してなぁ。取りにきてたとこなんや」
「白石くんも忘れ物をとりにきてたんだ」
「っちゅーことは、ちゃんも?」
はこくりと小さく頷くと自分の席へと近づく。
机の中に手をつっこんでみると、そこには携帯の感触があった。
机から取り出すと、今度はがそれを白石に見せて、苦笑いを浮かべる。
「私はこれを取りに来たの」
「携帯って・・・そりゃ無いと困るわなぁ」
今の次世代必需品とも言える携帯電話を忘れるなんて。
二人は顔を見合わせるとどっちもどっちだと互いに思ったのか、笑い合った。
白石はプリントを鞄にしまうと、を見返して尋ねる。
「ちゃんもこれから帰るんやったら途中まで一緒に帰らへん?」
「え・・っ」
「こんな時間やし、外も真っ暗やしな。男の俺としては、女の子を一人では帰せない所なんやけど」
最後のほうはおどけた感じで言った白石だったが、心配してくれてるのは白石の顔を見ればすぐに分かった。
確かに、一人で帰るよりも誰かと一緒にいたほうが安心する。
それに断る理由が無い。
は携帯を鞄にしまいこむと、承諾の意を込めて頷いた。
「なら、早う行こうか」
「うん・・・」
先に教室を出て行く白石のあとをも慌てて追いかける。
歩幅を合わせて隣を歩く白石。
は隣を歩く白石をちらりと見上げると、すぐに視線を足元へと移した。
絶えず話しかけてくる白石に相槌を返しながらも、の中にはある疑問が浮かんでいたからだ。
忘れ物をして取りに来たという白石。プリントも持っていたし、きっとそれは本当なのだろう。
だけど・・・・
何故、教室の明かりをつけずに中にいたのか。
問いただして見たかったが、笑顔で話す白石の横顔を見ていると、は言い出せなかった。
次の日、は早くに学校に着くと自分の席で静かに読書をしていた。
時間が早いためか、教室にいる生徒もまだ少ない。
ふと昨日の事を思い出して、ちらりと白石の席に目を向けた。
鞄が置かれていない所をみるとまだ学校には来ていないらしい。
そっと視線を手元の本へと移すとは昨日抱いた疑問に悶々とした。
なぜ、白石はあの時間、明かりもつけずに教室にいたのだろう。
忘れ物を取ったらさっさと帰るはずなのに、白石はそこに居座っていた。
まるで自分を待っていたかのような・・・・・
そこまで考えては小さく首を降った。
いくらなんでも調子の良すぎる。考えすぎた。
今度こそ、は読書に没頭しようと、ページを捲ったとき、自分にかかる暗い影に顔をゆっくりと上げた。
「ー」
「!・・・謙也、くん」
目の前で自分を見下ろしていた影。忍足謙也の姿を視界に留めて、はドキリとした。
今は違うクラスになってしまったが、1年2年と同じクラスだった謙也には密かに想いを寄せていたのだ。
近くにいる謙也にはどくどくと自分の鼓動が速くなるのを感じる。
「なぁなぁ、電子辞書持ってへん?」
「辞書?」
「1時間目国語で使うんやけど、うっかり机の上に置きっぱなしで忘れてきてしもうたんよ」
謙也に物を貸すのは初めてではない。は思わず笑うと、自分の鞄から白い辞書を差し出した。
「ふふっ・・相変わらずだね、謙也くん」
「毎回ありがとうな、」
「いいよいいよ」
――謙也くんだもん。
心の中でそっと言葉を付け足した。
声に出して言う事はたぶん、一生出来ないけれど、それでもいい。好きな人が自分を頼ってくれるのは嬉しいから。
は謙也を見て嬉しそうに笑みを浮かべた。
ガラッ
「なんで謙也がここにおるん?」
「!」
「おー白石ー」
教室の扉が開き、顔をのぞかせたのは白石だった。
足早に二人の元へとやってくると、と謙也を見比べ白石は首を傾げる。
「二人って顔見知りだったん?」
「せやで。俺との仲やしな」
「え・・っ」
誤解を招くような言い方には少し頬を染めて謙也を見上げた。
謙也はそんなの反応には気付かず、先ほど受け取った辞書を白石に見せる。
「辞書忘れとったからな。に借りにきたんや。俺とは親友やもんな!な、っ」
「あ、う、うんっ」
その時のの表情を見逃さなかった。
残念そうな、でもほっとしたような、微妙な表情を浮かべたを白石は目を細めて見つめる。
「あ、そろそろ戻るわ。またな、、白石」
「ああ」
軽く手を振ると教室をでていった謙也。
その後姿をじっと見届ける。
ふと、白石の視線を感じては顔を上げる。
そこで漸くは初めて白石を見つめた。
何か言いたげな表情でじっと自分を見下ろしてくる白石には首を傾げる。
「白石くん?」
「ちゃんは、謙也の事名前で呼ぶんやな」
「え・・、う、うん・・・・?」
「・・・ふうん」
要領を得ない白石の言葉にはますます首を傾げてしまう。
気になる事でもあっただろうか。は自分の行動を振り返ってみるが、白石が気になるような事は浮かばなかった。
白石は話題をかえるようにすぐに口を開く。
「そういえばさ、」
「え・・?」
「ちゃんて、美術部やったっけ?」
白石が自分の部活を知っていた事に驚いて、は返事をする事も忘れ少し目を丸くした。
だけど白石がじっと見つめてくるので慌てては首を縦に振る。
とてもじゃないが、白石の視線には耐えられそうにも無いからだ。
「昨日も遅かったんて、部活のせい?」
「そうだよ。今、中文連の作品を作ってるからね」
といっても残ってるのは私くらいなんだけど。
そう言って、は恥ずかしそうに目を伏せた。
俯いてこちらを見ていないを見て、白石はそっと自分の下唇を舐める。
「へぇ・・・じゃあ、部活中はちゃん一人なん?」
「う、うん・・・っ」
「そうなんや・・・」
白石が呟いたと同時に、教室に担任が入ってきた。
それ以上言葉を紡がれる事はなく、白石はに微笑みかけると、片手を軽くあげて自分の席へと戻っていく。
は手元にあった本を見下ろすと、ゆっくりと机の中にしまった。
「ー!!」
放課後になり、は部室にいくため帰る支度をしていると名前を呼ばれて顔をあげる。
今朝と同様、目の前には謙也がいて、その手には貸した電子辞書があった。
「すぐ返しに行こう思ってたん。せやけど、遅くなってしもうた」
「ふふっ、大丈夫だよ。無くても困らなかったし」
「ホンマ有難うな!」
謙也は満面の笑みを浮かべると、走って教室を出て行った。
すぐに見えなくなってしまった謙也の後姿を、はぼんやりと見つめる。
2年間追い求めていた、その背中を。
「・・・・部室、行こ」
胸がぎゅうっと締め付けられるような感覚に気付きたくなくて、は鞄を手に教室を足早に出て行った。
部室に着くなり、すぐには作業に取り掛かる。
鞄を近くの机の上に置いて、作業台をセットし、自分の作品を手にすると、小さく溜息をついた。
謙也の笑顔が頭から離れない。
「重症だよ、私・・・」
作品を持つ手に力が入り、ぎりっと音がなる。謙也を見るたび、抑えのきかない心臓。
どくどく、と早く鼓動を刻むのが痛いのに、それすら心地よいと思ってしまう不思議な感覚がする。
は集中するため、ゆっくりと深呼吸をすると、作品を見つめ、筆をとった。
謙也の事を頭の中から振り払うように、無我夢中で手を動かしていく。
気付けば、外は真っ暗で。はそれまでずっと動かし続けていた手をやっと止めた。
時計を見ると20時頃を示していて、そこまで集中していた事に軽く放心する。
「そろそろ出なきゃ・・・」
時計と窓とを見比べ、は腰をあげると数歩離れた所で自分の作品を眺めた。
一心不乱に動かされた筆で描かれた部分は、なにか迷いのようなものがみてとれた。
暫く無言で見つめていたが、やがて小さく息をはくと肩を下ろす。
「描き、なおしだなぁ・・・」
広く、静かな部屋で、の声だけが響く。
後片付けをしようと作品に近づいた時
悪 魔 ガ 微 笑 ミ カ ケ タ
「え・・っ」
突然部室の電気が消え、真っ暗になる。
筆に伸ばしていた手をとめは天井を仰いだ。
その時、
「っ!?」
突然後ろから伸びてきた手に口を押さえられた。
驚いて声をあげようにも口をきつく押さえられてるため、くぐもった声しか出てこない。
思わず自分の口元にある手を離す為に掴むが力強い腕はとても自分の力じゃ振りほどけそうになかった。
お腹に回された腕で後ろに引き寄せられ、背中にあたる人の体温にびくりと身体を揺する。
「・・ゃっ・・!」
「大人しゅうしとるんやで」
「!」
耳元で囁く声。その声には聞き覚えがあった。
暗闇にも目が慣れ、ぼんやりと辺りを認識し始める。
は後ろにいる人物の顔を見ようと身を捩るが、強い腕がそれを許さなかった。
「ちゃん・・・」
「っ!」
耳に息を吹きかけられ、ゆっくりと甘噛みされる。
その感覚にぞわぞわとしたものが背中を駆け上がり、は小さく声を漏らした。
くすりと、後ろで笑った気配を感じた。
「んー・・っ!んー!」
動き続ける舌の動きに耐えようと、目をぎゅっと瞑る。
怖い。怖い。
いきなり後ろから身体の自由を奪われたこと。そして、自分の知らない感覚が押し寄せてきていること。
の手が力が入らなくなって小さく震えていることに気付くと、漸くの口を覆っていた腕が退く。
途端に、口で息を吸い、肩で呼吸しだす。
「はぁ・・っ・・はぁっ・・・」
「どうや?気持ちええ・・・?」
「白石、くん・・・・っ」
そっと顔をあげると、そこには自分を見下ろす白石の姿が。
自分を見下ろす熱っぽい視線には胸の奥が震えるのを感じた。
その事に戸惑い、はその感情を忘れ去ろうと白石の腕から逃れようとする。
だがしっかりと腕で抱きしめられていて、動けない。
「離して・・・っ」
「それは出来へんなぁ」
「な・・っ!どうして・・・」
懇願するように切なげで見つめてくるの瞳を見て、白石はにっこりと微笑んだ。
その笑みはあまりにも綺麗で、綺麗だった故に残酷でもあった。
「これからちゃんを俺のモノにするから」
口元が三日月形に歪んだのを見て、は目を見開き息を呑んだ。
目の前にいるのは確かにの知っている白石なのに、まるで別人のように冷酷な笑みを浮かべる。
呆然と見返す事しか出来ないに、白石はゆっくりと顔を近づけた。
「・・・っ!」
「ちゃん・・・ええ香りがする・・・」
首元に顔を埋めるとぺろりと一舐めする。
ぴくりと反応するが可愛らしい。
「や、やめ・・・っ」
「・・はぁっ・・・」
白く滑らかなの肌に白石は夢中で唇を寄せる。
舐めたり、軽く吸い上げたり、柔らかい弾力に目を細める。
の気が腕からそがれているのを確認すると、空いていた手で流れるように制服のファスナーを下ろした。
突然の外気にびくりと肩を震わせたは、思わず振り返ろうとする。
だがそれよりも先に白石は動いた。
「ぁっ・・」
「へえー・・・ちゃん、着やせする子やったん」
「!・・やぁっ!はなして!」
白石がを抱いていた腕を引き寄せると、二人は更にぴったりとくっつく。
先ほどあけたファスナーの隙間から手を差し込めると、白石は遠慮なくの胸を下着の上から掴んだ。
白石の手に少し余る程の大きさに、感嘆の声をあげた。
そんな白石の反応と、下着の上からでも十分に感じる白石の体温とに、は顔を真っ赤に染める。
手探りでホックを探り当てると、いとも簡単にそれを解き、直にの胸を触り始めた。
「・・ふっ・・・あっ・・・」
「ええ声やで・・ちゃん・・・」
「・・っ!」
脇から持ち上げるようにして、胸を揉み解し、時々長い指が硬くなり始めた突起を摩る。
初めての感覚にはどうしていいのか分からなかった。
自然と出てくる自分でも知らない甘い吐息に、目元が熱くなる。
やめて欲しくて、自分を抱きしめる腕に手を置いてみても、力が入らなくてただ添えているにすぎない。
「かわええ・・・かわええよ・・・」
「やっ・・やぁっ・・・やめっ・・・・」
耳元で囁きながら手を動かす事をやめない。
視界に入る制服の下で自分の胸を弄る白石の動きが、の顔を更に赤くさせた。その刺激的な光景に耐え切れず、ぎゅっと目を瞑る。
すっかり自分の力で立つ事もままならなくなったは完全に後ろにいる白石に身体を預けていた。
寄りかかって、肩で一生懸命呼吸をするを見つめ、愛しそうに抱く腕に力をこめる。
「なんで・・・なんでなんや・・・・」
「・・・えっ・・・?」
きつくを抱きしめながら、切なそうな声で白石は小さく囁く。
ゆるゆると左腕がの身体を這うようにして下に下がっていくが、その事に気がいかないほどに、あまりにも切実な声だった。
何故自分にこんなことをするのだろう?
は行為をされ始めていた時から疑問に思っていた。ただの遊び?それともただの欲求処理のため?
だが、今の白石を見るとどれも違うような気がする。なにか他の理由があるんじゃないかと。
「・・・考え事?」
「えっ・・・や、やぁっ!そ、そこは・・っ」
気付いたら白石の左手はスカートの中へと侵入していた。
の思考を奪い去るように白石は手を動かし続ける。
驚いて身を退くが、自分から白石に身体を押し付けるような形にしかならなかった。
かまわずの脚の付け根まで指を滑らせると、下着越しでも分かるしっとりと濡れた感触。
いやだいやだと身を捩りながらも、は感じていたのだ。
その事に白石はほくそ笑んだ。
「ちゃんの身体は、素直やな・・・」
「や・・・っ・・あっ・・・」
「ココ、こんなに濡れとるで?気持ちええのやろ・・?」
「そ・・・んなこ、と・・・っ」
下着の上から割れ目をなぞる指の動きにびくびくと身体を震わせる。
もうなにも考えられないほどに、頭がぼんやりと霞んでいく。
そんなを見つめながら、白石はゆっくりと指を中へと忍び込ませた。
「!・・っ・・ひゃっ・・・」
「すごい・・・ドロドロ・・・・・」
「い、いわない・・・で・・っ・やぁっ・・」
下着の隙間から指を滑り込ませてみれば、そこはもっと濡れていた。
長い指で入り口をくすぐるように動かす。途端にあがるの甘い声。
溢れて自分の指に絡まってくるものを、の花芯に塗りつけるように摩る。
「だ、だめ・・っ!や、やだっ・・・やぁっ!」
「嫌じゃなくて気持ちええやで、ちゃん?」
「あっ・・・ああぁっ・・・」
自分の意と反してでてくる大きな声には堪えきれず、自分の指を噛んだ。
声を抑えようとするので無意識に指を噛む力が込められる。
「そんなんしたら、指に傷がついてしまうやろ」
白石はそんなの指をそっと口から離すと、そのままの指を先ほど弄っていた場所へと誘導する。
そしての指を花芯に押し付けるようにして自身に触らせる。
途端に駆け巡る甘い痺れには咄嗟に指を離そうとした。
だが上からそれをさせないと言わんばかりに、白石の手がの手を押さえつける。
「やだっ・・やめてよ・・・・こんなの・・っ」
「でもとっても気持ち良さそうやで?ちゃんの顔」
「そ、そんなこと・・・っ」
「ほら、ココも喜んでるで?」
次第に聞こえてくるぐちゅぐちゅといやらしい音。
耐え切れずは熱っぽい瞳から涙を流す。
その顔は酷く扇情的で、白石の喉がゴクリと鳴った。
自分の体を支えにがかろうじて立っている事は一目瞭然だった。
もう抵抗しないだろう。そう思った白石はを床に押し倒す。
脱げかけの制服や、いつもは白い肌が少し上気して赤くなっているの体、そして切なげに自分を見上げてくるの瞳。
全てが白石を煽る。
「白石、くん・・・っ」
「名前で呼んでや、ちゃん」
「え・・・っ」
「そしたらもっと気持ちええ事したるで」
妖艶な笑みを浮かべて自分を見返す白石を見て、は胸を締め付けられるような感覚に陥った。
自分の上に覆いかぶさる白石を呆然と見上げる。
には既に抗う力が無く、ただされるがままに白石に制服を脱がされていく。
纏うものを全て失ったをうっとりとした瞳で見返す。
「俺を見て・・・ちゃん・・・俺を・・・」
「・・・しらいし、く」
「蔵ノ介、や」
の口に人差し指を押し当てると、白石は笑った。
そして無防備にも晒されているの秘部に今まで体を這っていた指を差し入れる。
無理矢理押し開けようとするその感覚には溜まらず声を上げた。
「痛・・っ痛い・・っ!」
「ちゃんのナカ・・・熱い・・・っ」
「痛いっ痛いよ・・やだ・・抜いて・・っ」
ぎゅうぎゅうと締め付けてくるの中を動き回る白石の指。
なにかを探るように動かす手つきにはぎゅうっと目を瞑り耐える。
きつくて中々思うように動けない白石は差し入れた中指をそのままに、親指でそっと花芯を摩る。
「やっ・・・」
突然の痺れに思わずの腰が浮く。
それに構わず白石は丹念に花芯を摩りながら、指を動かしていく。
痛みと快感が駆け巡りは無我夢中に声を上げ続けた。
おかげで先程よりも指が動きやすくなり、もう一本指を増やす。
「あっ・・・あぁっ・・あっ・・・」
「はぁ・・っ・・凄い・・・ヒクヒクしとる・・・」
「やだぁっ・・・」
を煽るように耳元で囁けば、面白いように反応する体。
蕩けるように温かく心地よいのナカに白石は目を細め、指を動かすスピードを上げる。
指を動かすたびに聞こえる水音には体を竦ませる。
奥へ奥へと中を荒らしながら入り込んでくる白石の指。
その指先がある一点を掠めた時、驚くくらいに大きな嬌声が響き渡った。
「あああっ!」
背中を弓なりにしならせ、は啼いた。驚いて思わず動かしていた指を止める。
力強く締まったを指で感じ、肩で呼吸を整えようとするを見て、白石は口元をにやりと歪めた。
「ひょっとして・・・ココ」
「!・・やぁっ・・やああっ」
「ちゃんのええとこなんやね」
かぶりを振って首を横にふるだが、その顔は熱に浮かされとても気持ち良さそうだ。
良い事を知ったと、白石は笑うと今度は集中的にその一点だけを攻めていく。
途端にの腰は飛び跳ね、自分の腰へと無意識にぐいぐいと押し付けてくる。
「や、やめっ・・やだっ・・・しらいしく・・んっ」
「蔵ノ介・・や・・言うとるやろ・・・」
「はあっ・・あぁっ・・」
自分の名前を呼ばないに苛立ちのようなものを感じ、白石は強くを突いた。
ほら、言え。言え。言え。
そう指で脅されているような感覚がを包み込んでいく。
強い刺激に耐え切れず、が思わず声を名前呼ぼうとした瞬間
―――ピピピピッ
携帯の着信音が響いた。その音に二人は動きを止める。
の携帯はマナーモードにしているため、音を発している携帯は白石からのだ。
白石は億劫そうにポケットから携帯を取り出し、電源ボタンを押そうと携帯を開いたが、その画面に表示された名前を見てニヤリと口端をあげた。
携帯を切るのだろうと見守っていたは、白石が通話ボタンを押して携帯を耳に押し当て始めたのを見て目を見開く。
「もしもし?」
『あー白石ー。今ええか?』
「!!?」
電話越しに聞こえてきた声にははっとしたように顔を上げた。
白石を見つめれば、切る気がないのか、自分の反応を見下ろしながら電話の受け答えをしている。
今までふわふわと夢見心地のような感覚だったのが、現実なのだと思い知らされる。
逃げようとは腰を退こうとするが、白石がそれを許さなかった。
「・・ひゃぁっ・・・!」
「逃げちゃあかんで?ちゃん」
「・・・っ!」
「逃げたら言ってしまうで。謙也に」
低い白石の声には体を竦ませた。
口に手をあて、声が漏れないようにする。
聞こえちゃいけない。聞かれてはいけない。
電話越しの相手は、が恋焦がれる相手だと知った今なら、なおさら。
白石は器用に電話に答えながら、ゆっくりと自身をとりだした。
初めて見る男性のモノには目をつぶり、首を力いっぱい横に振る。
「そ、んな・・・はいらないよぉ・・・っ」
「大丈夫や」
の腰を引き寄せ、自身を宛がうと一気に押し込めた。
突然の衝撃と、張り裂けるような痛みには喉を詰まらせる。
「・・・っぁぁっ!!」
「・・くっ・・・うっ・・・・!」
『・・・で・・・って聞いてるん?白石』
「・・・あぁっ・・・聞いとるで・・・」
容赦なくしめつけてくるにもってかれそうになるのを歯を食いしばり堪える。
ぼろぼろと涙を流し耐えているを一瞥すると、白石はそっとの花芯を摩る。
痛みの中に感じる快感にの体はびくりと跳ねた。
「ちゃん・・・声、聞かせてやらんの?」
「・・・っ!・・んっ・・・」
携帯をこちらに向けられて、は力いっぱい首を振り拒否する。
さすがに無言になったりする白石に疑問を抱いたのだろう。
電話越しに謙也が怪訝そうな声をあげ問いだしてくる。
『白石・・・お前なんか変やで?』
「そないことないで・・・っ・・・・せやな・・・」
ちらりとを見下ろす。
与えられる快感に必死に耐える。
それも全部、電話越しの謙也にバレたくないから。
白石はその事に苛立ちを募らせる。
バレてしまえばいい。白石蔵ノ介という男に犯されているという事実を。
携帯を握る手に力がこもる。
「謙也」
『なんや?』
「っ!!」
会話をそのままに腰を動かし始める。
は慌てて口を強く抑えて、快感と痛みの波に耐える。
細く折れてしまいそうなの腰を片腕で引き寄せると、より奥へと侵入させる。
今度こそは耐え切れずに声をあげてしまった。
「ああああっ・・・!」
『・・・え・・?』
「謙也、悪いなぁ。ちゃん、」
電話から聞こえる戸惑いの声にも構わず、白石は笑いながら言葉を紡ぐ。
先ほど見つけたの感じるところを強く突き上げながら。
「もろたで?」
謙也の返事を聞かず、電源のボタンを押すと白石は携帯を近くに投げ捨てる。
ようやくあいた両腕で力強くの腰を掻き抱くと上下に揺すった。
栓が外れたようには声を抑える事なく、啼き続けた。
「いやぁっ・・あぁっ・・・」
「名前・・・まだ呼んで、もろてない・・・・」
「はぁっ・・・あぁっ・・・」
「ちゃん・・・っ・・・呼んで・・・?」
その時の白石があまりにも切実な声をあげて自分の名前を呼ぶから、は答えるように小さく呟いた。
頬を伝う涙にそっと目を閉じて。
「蔵、ノ介・・・・・っ」
の自分の名前を呼ぶ声を聞いて、白石が泣きそうな顔をしていた事など
目を閉じていたは、知らない――――。
背後から
キミが最初から俺を見ていてくれたら、よかったのに
2009.2.25