8:10。よし。
今日も彼女はここを通るはず!・・・・・・見えた!


「ーーーー!大っ好きだあああああ!」
「きゃああああ!?」


と呼ばれた少女は突如現れた半脱ぎの鉢屋三郎に悲鳴をあげた。
持っていた鞄を思い切り振り回し、それが見事鉢屋のお腹にのめりこむ。


「ぐはっ!今日もの愛のパンチを受け取ったぜ!」
「ひい!?」


前屈みになるがばっちりとその攻撃に耐えるとニヤリと笑う。
そしてジリジリとに近寄ると片手に持っていた鞭を見せる。


「叩かれるのと叩くのとどっちが好き!!?」
「どっちにしたってあなたを喜ばせるだけじゃない!!!?」


胸に鞄を掻き抱いて2,3歩後退する。


「な、なんで毎日現れるんですか!?」
「何でってがここを通るからに決まってるじゃないか」
「ひえ〜!」


びしっと鞭を引っ張りながら答える鉢屋に涙目の。
なぜ上半身だけ脱いであるのかが凄く気になるが気にしたら負けな気がしてはあえてつっこまない。
それよりも今は早く学校に行かなければ遅刻してしまう。


「よ、よく分かりませんが私はここで失礼させて頂きます・・・っ!」
「おーっと!そうはいかないぜ!」


鉢屋に背中を向けて走り出した刹那に足がなにかに引っ張られる感覚。
恐る恐る下をみてみると、左足首に綺麗にまきついている黒い鞭。
後ろを見ればひどく悪人顔のようにへらへらと笑う鉢屋と目が合う。


「ひゃあああ!どうしよう凄い悪人面ー!!」
「ふっふっふ。俺はSにもMにもなれる男だぜ?」
「知らないしっ!てかなんで鞭なんて持ってるのー?!」
「それは気にしない方向で」


容赦ない力で引っ張られその場に尻餅をついてしまう。
起き上がろうとするがその瞬間に後ろから抱きしめられてしまい身動きが出来なくなってしまった。


「いやあああ!放してえええっ」
「はぁはぁ、の匂い・・・はぁはぁ、やわらかい・・・・」
「ひいいいいっ」


すりすりと頭に頬をすりつけてくる鉢屋にゾワリと鳥肌がたつ。
じたばたしても身動きひとつしないのはさすが男というべきか。


「こ、このままじゃ遅刻しちゃう・・・というか貞操の危機!?」
「さて、。近くのホテルに行こうか」
「いやあああっ!」




「もちろん、一人でだよね?」


バシンッ




鉢屋の悲鳴と物があたる音に驚いて顔をあげる。
ゆるくなった鉢屋の拘束から急いで抜け出ると、目の前には鉢屋と同じ顔をした笑顔の不破雷蔵がいた。


「あ・・・不破先輩・・!」
「ごめんね、ちゃん。本当に。毎朝毎朝」
「いいいいいたいっいたいっ」


心底すまなさそうな顔をしてに謝りながら鉢屋をぐりぐりと踏みつける。手には何故か鞭を持って。


「雷蔵・・・っ・・・・・もっと踏んで!!!」
「あーはいはい。ちゃんが引いてるからとりあえず起きろ」


地面と華麗なるちゅーをしたせいで鉢屋は全身ぼろぼろだった。
だが特に気にするようでもなく、起き上がると鉢屋は凄く良い笑顔でを見る。


「!!俺は今いい考えが思いついたぞ!」
「・・・・え・・・な、なんですか・・・?」


鉢屋の”良い”は絶対に良くない事だ。
それを身をもって知っているはあまり聞きたくないが、とりあえず聞き返してみる。
すると、目の前の変態はとんでもないことを口走りだした。




「に対して俺がSで、俺に対してSの雷蔵。これですばらしい3Pが出来上がったと思わないか!?」




「「・・・・・・・・・」」


これぞ名案!という顔をしている鉢屋に完全に硬直してしまった。
雷蔵は鞭がきしむほどに強く握り締めると鉢屋に振りかざした。


「寝言は寝て言え」


バッシーンッ!!!






喜びながら悲鳴をあげた鉢屋を後に、は雷蔵にひかれるままに学校へと向かった。































半永久機関変態







そしてまた鉢屋との攻防戦が続く。







2009.11.3

珍しく三郎で明るい。(というかただの変態)