「」


いやに真剣な顔で見つめてくる勘右衛門に私は「ドキッ」「きゅんっ」なんてするわけがなく
ジリジリとにじりよってくるコイツからいかにして逃げようかを必死に頭をフル回転させて考えていた。


「今夜俺に処女をくれないか」
「断固として断る!」









「初めて」をいただきたい!










ひどく真剣な顔をして言ってくるものだからタチが悪い。
誰もいなくなった放課後の教室。
どうしてここに私と勘右衛門が2人きりでいるのかというと、簡単なことだ。
他のみんなは委員会活動に励んでいるであろうこの時間。
しかし、私たちは何にも属していない。つまり、無委員会の帰宅部!!
委員会のない人はこの時間、とっくの間に帰れるのだが、私は不運な事に毎回勘右衛門に捕まっている。


「じゃあもう縞パンでいいから!頂戴!」
「意味わかんないし!てか縞パンじゃない!」
「はぁ!?おま、縞パンはいてないとか信じられない!縞パンをなんだと思ってるんだ!」
「私はアンタの頭が信じられないよ!!」


勘右衛門に捕まるようになってから彼について知ったことは異様に縞パンにこだわっている事だろうか。
全く信じられない事に私が縞パンを穿いていると信じているようだ(もってない訳じゃないけどさ・・・)


「うう・・っ・・・なんで、なんで縞パン穿いてないんだよぉ・・・・」
「なぜそこで泣く!?あぁもう、私帰るからね!」


勘右衛門の脇を通って壁際から抜け出して立ち去ろうとする。
が、しかし。その瞬間がしり、と腕を捕まれてしまった。


「・・・・俺が縞パンプレゼントするから、初めての日に穿いてきてくれよ・・・」
「初めての日ってなに!?ていうか、放してっ!」


ぶんぶんと捕まれた左腕を振るが、簡単に外れるわけが無い。


「あぁ、そっか。これから一緒に買いにいけばいいじゃん。そしてそのまま俺の家に直行!」
「え、なに自己完結してんの。しかもなにその最悪な流れ」
「俺はピンクの縞パンが似合うと思うんだよね〜あ、水色も捨てがたいけど」
「お前の好みはどうでもいい!ってか、すとっぷ!とまれ!!」


引っ張られるままに教室をでるところで勘右衛門を止める。
いつのまにか自分の荷物も持たれていて、行動の早さに驚くしかない。
いや、今はまずそこに感心している場合じゃなくって・・・・。


「あのね勘右衛門」
「なに?」
「ど、どうしてそこまで縞パンにこだわるの?ていうかなんで私なの?縞パンが好きなら別に他の子でもいいじゃない!」


今まで思っていたけれど、言うに言えなかった本音。
別に私は勘右衛門の事が嫌いって訳じゃない。
だけど、こうも軽いノリだと信じていいのかよく分からなくなっちゃうのだ。
信じたものに裏切られる事ほど怖いものは無い。


じっと硬い表情で見つめてくるに勘右衛門はきょとんとすると首を傾げながらさも当然の事のように話す。


「他の子?なんで他の子がでてくるの?俺はが好きだから他の子じゃダメだよ」
「な、な・・・っ!」
「を初めて見たときからずっと思ってたんだ。俺にはじゃないとダメだって、しかいないって」
「・・・・っ!」


今までとは違う愛の言葉には思わず言葉を詰まらせ赤面する。
面とむかって真摯な態度で言う勘右衛門に不覚にも胸が高鳴ってしまう。


「か、勘右衛門・・・っ」
「ほど縞パンが似合う子なんてそうそういないし!!だから俺、絶対に縞パン穿いて欲しいんだ!」
「・・・・・・・・・・は?」
「そしてそのを抱くのが俺の夢なんだ〜!あはは」
「・・・・・・・・」


恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら照れ笑いをする勘右衛門。


俺の夢なんだ〜じゃない・・・・っ!
ちょっとときめいた私がバカみたいじゃないっ!


震えだす拳をぎゅっと握り締めると静かに勘右衛門を見る。


「勘右衛門」
「うん?」
「ちょっと歯食いしばってよ」
「え・・・・っ・・・ちょ」


大きく手をふりかざすとそのまま、勘右衛門の頬めがけて手を振り下ろした。




私のときめき返しなさいよーーーーーーーーーーーー!




直後、勘右衛門の悲鳴との泣き声が学園中に響いた。



























2009.11.3
初勘ちゃん。キャラよく分からないけどやっちゃった。しかもこれっていう^q^