|
女って生き物はよく分からない。
なんでそう毎回毎回同じような事で泣けるのだろうか。
目の前で目元を赤くして嗚咽をする幼馴染を呆れたように見下ろした。
「で・・・今度はなに」
ティッシュでおもいきり鼻をかんでずずっと音を鳴らすに、食満は毎回同じ言葉を問いかける。
綺麗に施されていた化粧も今では涙でボロボロだ。
そんな顔も見せるのは”幼馴染”である、食満の前だからなのだろうか。
「・・・・・た・・・」
「何?」
「浮気されたっ!!!!」
声を張り上げると、思い出してしまったのかまた涙を零す。
これも毎回の事のため、今更の涙を見ても動揺などしない。
食満はこれでもかという程に大きく息をはくと、手にもっていた雑誌を放り投げて自分のベッドに寝転がった。
「お前・・・これで何回目?」
「・・・・わかんない・・・」
「呆れた」
冷たい言葉を吐いてしまうのは、呆れているだけではないという事に気づかないのか。
いつもあまり口が良いとは言えない食満の事だからと、は気づいていないのかもしれない。
どうせ、幼馴染の泣き言に付き合ってくれてるだけ。としか思っていないのかもしれない。
しかし実際はそれだけではない。
本当はもっと違う感情が入りこんでいるという事には気づいていないのだ。
「留ぇ・・・私ってそんなに魅力、ないのか、なぁ・・・っ」
「・・・・・幼馴染の俺に聞いてどうすんだよ」
「・・・そ、それも・・そうだよ、ね・・・っ」
ごしごしと目元を擦るので余計にそこが赤くなっていく。
それがまた痛々しくて目を逸らす。
(十分すぎるくらい可愛いっつーの・・・っ)
思っても言葉に出来ない言葉は心の中に沈んでいく。
ぼーっと考え込んでしまっていて、近くにが来たことに気づかなかった。
「留」
「っ!?」
ハッとすると、上から覗き込むように自分を見下ろすと目が合う。
化粧をして着飾っているも可愛いが、化粧が崩れてボロボロになっても素のが一番可愛いと思う。
驚いて反応が出来なかった食満をいいことに、そのままは甘えるようにぎゅうっと首元に抱きついてきた。
「・・っ」
「お願い。今日はこのままでいて・・・っ」
離そうと肩に手を置いた瞬間、弱弱しいの声が耳に伝わり退かす事が出来なかった。
かわりに、ぐっと上半身を起こすとすっぽりと腕の中におさまるを思い切り抱きしめてやる。
たとえそれがコイツの恋人の代わりであろうと。
今の俺にはこれくらいの事しか出来ないから。
「・・・ふぇ・・・っ」
「・・・・」
ぎゅっと胸元を握り締めて再び泣き出してしまったの髪にそっと口付けた。
二言目には「別れなよ」
俺を見ろと言えたらどれだけ良い事か。
2009.10.17
食満くんは毎回報われてないですね